2013-01-07 最高裁長官、婦女暴行事件への抗議運動に対して苦言
ニューデリーで発生した婦女暴行事件(12月16日)に対する抗議運動が再び激化する中、本件に関する司法の動きも活発になっている。1月3日、デリー警察は、暴行を行ったとされる容疑者6人のうち5人に関する起訴状をデリー南部サケットの地方裁判所に提出した(残りの1人は未成年と見られているため、現時点での起訴状提出は見送られている模様である)。一方、昨年12月下旬には、これまでにデリー市内で発生した婦女暴行事件に関して審理を行うために、5つの早期結審法廷(fast-track court)を設置することが決定された。
1月2日、第1番目の早期結審法廷がサケット地方裁判所内に設置された。今後、12月16日の事件に関する審理はこの早期結審法廷で行われることとなる。アルタマス・カビール最高裁長官は、同法廷の設置にあたって行われた講演において、婦女暴行事件に対する人々の怒りに理解を示しつつも、「人々の反応は、“容疑者を裁判にかけるな” “俺たち自身で容疑者を裁いて死刑にするからこちらに寄越せ”というものだった。行き過ぎることのないようにしよう」と述べ、抗議運動に対して苦言を呈した。さらに同長官は、「迅速な裁判を行うために、裁判の公平性が損なわれることがあってはならない」とも述べた。
さらにカビール長官は、婦女暴行事件に関する早期結審法廷が設置されたことについて、このような事件に関する審理を迅速に行うことの必要性を政府が認識したことは、歓迎すべきことであると述べた。また同長官は、女性に対する性的暴行は「身体に対する犯罪というだけでなく、精神に対する犯罪でもある」とも述べ、婦女暴行事件に関する審理を行う際には被害者の抱える精神的衝撃にも配慮すべきであるとの考えを示した。