2013-03-28 外務省、インドに対する円借款2,200億円に関する書簡の交換
3月26日、岸田外務大臣と来日中のインドのクルシード外相の立ち会いの下、八木毅駐インド国大使と先方ワドゥワ駐日インド大使との間で総額2,204億6,100万円を限度とする額の円借款4件に関する書簡の交換が東京で行われた。外務省のプレスリリースが、同日付で報じた。
対象案件の概要は以下のとおり。
(1)貨物専用鉄道建設計画(フェーズ2)(第二期)(1,361億1,900万円)
貨物専用鉄道建設計画は、インドにおいて急増する貨物輸送需要に対応するため、総延長約3,300kmの貨物専用鉄道(西回廊(デリー・ムンバイ間)及び東回廊(デリー・コルカタ間))を建設する計画。このうち、円借款による西回廊建設の支援にコミットしており、フェーズ2・第二期においては、西回廊(約1,500km)の一部区間(ダドリ-レワリ間及びヴァドダラ-ムンバイ間、計約550km)について、工事に係る円借款を供与するもの。貨物専用鉄道計画への協力は、日印首脳間で合意された日印協力の象徴的な案件であり、この計画を通じて物流ネットワークの拡充・効率化が図られることにより、インドの経済発展及び都市環境整備に貢献することが期待される。
(2)チェンナイ地下鉄建設計画(第三期)(486億9,100万円)
インドのチェンナイ都市圏の人口は、1981年の450万人から2011年には870万人にまで増加している。また、自動車数の伸びも著しいため、交通渋滞が深刻化し、これに伴う大気汚染対策も重要な課題となっている。日本は、チェンナイ首都圏における地下鉄及び高架による大量高速輸送システム建設(約43.6km)のために、2008年度に第一期として217.51億円、2009年度に第二期として598.51億円の円借款を供与しており、この計画はその第三期にあたるもの。これにより、都市環境の改善と地域経済の一層の発展に寄与することが期待される。
(3)ビハール州国道整備計画(フェーズ2)(214億2,600万円)
インドの最貧困州の一つである東部のビハールで州は、近年の経済成長に伴い車両台数が急増する一方で、同州の人口10万人当たりの道路延長は同国平均の3分の1以下の低い水準にあり、急増する道路輸送需要への対応を図るため、早急な道路網の整備が必要となっている。このため、日本はフェーズ1として、国道83号線の拡幅事業に対して2011年度に229.03億円の円借款供与を決定しており、この計画はフェーズ2として国道82号線の4車線化及びバイパス整備を行うもの。これにより、交通利便性の向上による渋滞の抑制及び同州に対する投資環境整備に寄与することが期待される。
(4)西ベンガル州プルリア県上水道整備計画(142億2,500万円)
インド東部西ベンガル州プルリア県は、同州州都コルカタから約300km離れた辺境地であるため、同州の中でも識字率や所得水準が低い後進地域であり、同県の上水道普及率は16.8%と同州平均の38.0%に比べて低い状態にある。同県では、利用可能な表流水が限られているため住民の大半が地下水に依存する一方で、人口増加による水需要の増加を背景として、乾期は地下水位が低下し地下水の汲み上げが不可能となるなど慢性的な水不足が生じている。さらに、同県の一部地下水からは、WHOの飲料水ガイドライン値を超える天然由来のフッ素が確認されている。この計画で上水道施設の新設を行うことにより、安全な飲料水の提供を行うことが可能となり、地域住民の健康及び生活環境の改善に貢献することが期待される。