2013-06-05 インド研究の辛島昇・東大名誉教授、インド国勲章を受章
インド研究の世界的権威である辛島昇・東京大学名誉教授(80歳)は5月28日、訪日していたマンモハン・シン首相から「パドマ・シュリ」(インド国勲章)を授与された。パドマ・シュリは、分野を問わず、インド国家のために卓越した働きをした民間人に贈られる勲章。辛島名誉教授は、南アジア地域研究、特にタミル語刻文史料にもとづく南インド中世史、ドラビダ(タミル)文化の研究の第一人者であり、文学・教育の分野での顕著な貢献が受章の理由。PTI通信が同日付で報じている。
授章式は4月5日、ニューデリーの大統領官邸で行われ、プラナブ・ムカジー大統領から各受章者へ勲章が手渡された。辛島名誉教授は、健康上の理由から出席できなかったため、今回、日本を訪問していたシン首相による異例の授章となった。
辛島名誉教授は、かつてインドで数年間を過ごし、チェンナイのマドラス大学で南インド中世史とタミル語刻文の研究に従事。流暢なタミル語をあやつり、同分野の世界的権威として知られる。資料によれば、同名誉教授は1958年東大文学部東洋史学科卒業、64年同文学部助手、74年助教授を経て、81年に教授となり、94年に定年退官するまで20年間にわたり教鞭をふるった。
シン首相から辛島名誉教授にパドマ・シュリが授与される瞬間、参列者はスタンディング・オーベーションでその偉業を讃えた。
ちなみに、「パドマ」は、民間人に贈られる勲章としては最高位の「バーラト・ラトナー」に次ぐもので、上から「パドマ・ビブーシャン」、「パドマ・ブーシャン」、「パドマ・シュリ」の3階級がある。