2013-10-09 産総研、新規がん治療法開発でインド科学技術省と共同研究ラボを設立
独立行政法人 産業技術総合研究所(産総研)は、インド科学技術省バイオテクノロジー庁(DBT)と、健康・医療産業のイノベーションを目的とした共同研究ラボラトリーを産総研つくばセンター内に設立する。DBTがこのような共同ラボを日本国内に設置するのは初めてとなる。同研究所のプレスリリースが、10月3日付で報じた。
DBTは、インドにおけるバイオテクノロジー政策を担当し、主に生物工学およびその生産製造に関するプロジェクトの選定と支援、また、大学、研究所の生物工学分野の若手研究者の養成を支援している。共同ラボ設立は、産総研とDBT双方の強みを生かした健康・医療分野におけるさらなる研究協力の推進と若手研究者の人材育成を含めた研究者交流を目的とする。共同ラボの運営は、バイオメディカル研究部門細胞増殖制御研究グループが中心となって進める。DBTからは、共同ラボでの研究開発に対して3年間の資金提供があり、また今後、インドのDBT内にも共同ラボを設立することで合意している。
共同ラボはライフ・イノベーションを実現するための「先進的・総合的な創薬技術、医療技術の開発」を目指し、産総研が強みとする生理活性物質の探索技術および生体イメージング技術と、DBTが強みとする生理活性物質の実験動物評価技術およびIT創薬技術を生かした研究体制を構築する。さらに相互の人材、知財の活用、および人材交流を通じ、新規がん治療法の開発を目指す。これらの共同研究を進めることで、インドと日本双方の健康・医療産業の連携・強化につながることが期待できる。
共同ラボではDBTの持つインドの生物資源を基盤とし、産総研の持つ創薬分子探索技術により抗がん剤候補分子を特定する。併せて、産総研の持つ薬効を解析する生体イメージングの基盤技術を活用し、抗がん剤候補分子の薬効メカニズムを細胞レベルで明らかにする。さらにインド側の実験動物評価技術およびIT創薬技術を駆使し、抗がん剤として最適化を図る。