2014-01-07 シン首相、総選挙後に退任の意向
1月3日、マンモハン・シン首相は2014年の年頭にあたって、およそ75分間にわたる記者会見を行った。シン首相がこのような記者会見を開くのは、2004年に首相に就任して以来3回目のことである。記者会見の内容は、経済政策や外交政策など多岐にわたるものであったが、もっとも注目されたのは、総選挙後の自らの去就と、野党インド人民党(BJP)の次期首相候補であるグジャラート州のナレンドラ・モディ州首相に関する発言であった。
シン首相は記者会見冒頭の演説において、「数カ月後に総選挙が終了した後には、新しい首相にバトンを渡すつもりだ」と述べ、総選挙で与党連合・統一進歩同盟(UPA)が勝利した場合でも首相を退任するとの意向を示した。さらに、演説後には記者団からの質問に答える形で、「ラフル・ガンディー(会議派副総裁)は、(首相)候補として指名されるだけの素晴らしい資質を持っている。わが党が適切な時期にその決定を行うことを期待している」とも述べた。
さらにシン首相は、UPAから次期首相が選出されることを確信していると述べた上で、「ナレンドラ・モディ氏を首相に抱くのは、この国にとって破滅的なことになる」として、モディ州首相を攻撃した。また、「弱い首相」であるという批判がモディ州首相から寄せられているという指摘に対して、それは歴史が判断することだと述べた。その上でシン首相は、「『強い首相』というのが、アーメダバードの街路で罪のない市民に対する大量虐殺を行うことを意味し、それが強さの基準だと言うのなら、この国が必要としているのはそのような強さではない」とも述べた。
この記者会見でシン首相がモディ州首相を攻撃した背景には、2002年にグジャラート州で発生した反イスラム教徒暴動をめぐる、最近の一連の動きがあったと考えられる。この暴動に関しては、モディ州首相や州政府高官、警察幹部などが関与した証拠はないとする報告書が提出されており、この報告書に対する異議申し立ても、アーメダバード市の治安判事によって昨年12月26日に却下された。さらにモディ州首相は同月27日、自らのブログにおいて、この暴動には「心の底から衝撃を受けた」と述べたが、暴動の犠牲者に対する謝罪の言葉はなかった。