2014-02-13 JICA、「チェンナイ小児病院改善計画」に無償資金協力
国際協力機構(JICA)は、2月7日、インド国政府との間で「チェンナイ小児病院改善計画」を対象として、14億9,500万円を限度とする無償資金協力の贈与契約を締結した。JICAのプレスリリースが、同日付で報じた。
この計画は、南インドの拠点小児病院であるマドラス医科大学付属チェンナイ小児病院(ICH)の外来医療サービスの向上および医学教育機能の強化を目的として、総合外来棟とその付属施設を建設するとともに、外来診療に必要な医療機材を整備するもの。近年の著しい経済成長にもかかわらず、インドの乳幼児死亡率や5歳未満児死亡率は南アジアで最も高い水準にあり、その改善のために小児医療の強化が重要な課題となっている。計画を通じて、インド南部において、質の高い小児専門医療が貧困層に幅広く提供されることが期待されている。
ICHは、タミル・ナドゥ州の小児病院の中では最も幅広い医療サービスを提供している公立小児病院。貧困層に対しては無料で医療を提供し、近隣州の小児病院では行われていない専門的な診療も行っているため、ICHにはタミル・ナドゥ州に限らず、近隣州からも多くの患者が来院している。さらに、ICHは医科大学付属病院であることから、将来医師や看護師になる学生の実習や既に医療現場で働く人々を対象とした研修の場でもある。
ICHは、1968年の病院の創設以降、その時々のニーズに応じた増改築が行われた結果、複数の建物に診療科が分散しており、患者が診断と治療を受けるには非効率的な構造となっている。また、病院で実習や研修を受ける学生たちにとっても、研修スペースが十分ではないなど、教育機能の面からも、病院内の施設見直しが必要だった。このため、インド政府より日本政府に対して、分散している外来診療科を集約させた総合外来棟の建設および関連機材整備のための無償資金協力の要請が寄せられた。
この事業を通じて、外来診療科を集約させた4階建ての総合外来棟を建設し、医療機材を整備することにより、外来診療サービスの質の向上、医療従事者の教育機能の向上を通じて、タミル・ナドゥ州およびインド南部における保健・医療サービスの改善が期待される。また、利用者の大部分を占める貧困層への裨益も見込まれる。